【相続】生命保険が遺留分算定の対象として考慮された事例
この記事は 5日前に書かれた記事です。
1 事案の概要
被相続人は、生前に「全財産を一人の子に相続させる」という内容の遺言を作成していました。
相続人は子3名。
遺言により、他の2名には何も残らない内容となっていました。
依頼者は、生前、被相続人から
「保険に入っているから安心しておきなさい」
という趣旨の話を聞いていたとのことでした。
しかし相続開始後に確認したところ、依頼者を受取人とする保険契約は存在せず、むしろ数年前に従前の保険が解約され、別の内容の契約が締結されていることが判明しました。
また、開示された財産目録には不明点が多く、生前の資金移動について十分な説明がなされていませんでした。
依頼者としては、遺言の効力そのものを争う意思はありませんでしたが、遺留分については適切に整理したいとの意向でした。
2 調査の過程
預金取引履歴を確認したところ、
- 数千万円規模の保険解約返戻金の入金
- その後の多額の資金移動
が認められました。
さらに、相手方を受取人とする生命保険契約が複数存在することも明らかになりました。
生命保険金は、原則として受取人固有の財産とされ、遺留分算定の基礎財産には含まれません。
もっとも、
- 解約と再契約の経緯
- 資金の出所
- 金額の規模
- 契約締結時の状況
などを総合的に検討すると、形式だけで整理することが相当でない場合もあります。
3 法的整理
本件では、
- 生前の多額の資金移動
- 受取人変更の経緯
- 財産全体との比較
を踏まえ、一定の生命保険金を特別受益に準じて考慮する内容での和解が成立しました。
最終的には、金銭の支払いにより調停が成立し、紛争は解決しました。
4 所感
相続の問題は、法律論だけでは整理できない側面があります。
「そう言っていたはず」という記憶と、
実際の契約内容との間にずれが生じることも少なくありません。
遺言がある場合でも、
遺留分の問題が完全に消えるわけではありません。
まずは、事実関係を丁寧に確認することが重要です。
争いを大きくすることが目的ではなく、
状況を整理し、納得できる形で終えることが目標です。
※事案により結論は異なります。