【不動産】賃料増額請求に対して増額を認めなかった事例
2026.03.30
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不動産
事例
この記事は 5日前に書かれた記事です。
1 事案の背景
事業用建物を賃借していた依頼者に対し、賃貸人から書面により賃料増額請求がなされました。
契約開始からまだ数年しか経過しておらず、当初賃料は募集時に市場価格を前提として合意されたものでした。
それにもかかわらず、
- 近隣物件の賃料水準
- 固定資産税等の増加
- 経済事情の変動
を理由に、一定割合の増額を求める内容でした。
協議はまとまらず、調停を経て訴訟に移行しました。
2 争点の整理
借地借家法32条に基づく賃料増減請求は、
「事情の変更により賃料が不相当となったとき」
に認められる制度です。
重要なのは、
- 契約締結時と比較して
- 客観的事情が変動したかどうか
です。
本件では、
- 契約締結からの経過期間が短いこと
- 地価指標に顕著な上昇が見られないこと
- 比較対象とされた物件の条件が異なること
- 当初賃料が特別に低廉であった事情はないこと
などを具体的資料に基づいて主張しました。
3 実務上のポイント
賃料増額請求では、
- 「相場が上がっている」という抽象論
- 「他はもっと高い」という個別事例
だけでは足りません。
裁判所は、
- 公租公課の実際の増減
- 客観的価格指標
- 近傍同種性の有無
を重視します。
また、「当初賃料が相場より低い」という理由だけでは、
借地借家法が介入する余地は限定的です。
4 結果
答弁書提出後、賃貸人は訴えを取り下げ、本件は終了しました。
増額は実現しませんでした。
5 この事案から言えること
賃料増減請求は、形式的な通知だけで直ちに認められるものではありません。
もっとも、感情的に対立を深めるべき問題でもありません。
- 事情変更があるのか
- 資料上裏付けがあるのか
を冷静に整理することが重要です。
事業用賃貸借では、賃料は経営に直結します。
増額請求を受けた場合には、早めに状況を確認することをお勧めします。