【不動産】共有ビルの分割をめぐり、任意売却で解決した事例
2026.03.30
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この記事は 5日前に書かれた記事です。
1 事案の背景
相続により、親族3名が収益不動産を持分各3分の1で共有することになりました。
当該不動産は、複数のテナント・賃貸部分を有する建物で、一定の賃料収入を生んでいました。共有者は、管理会社に業務を委託し、収益と費用を持分割合で分配していました。
もっとも、建物は築年数が相当程度経過しており、設備更新や大規模修繕の必要性が現実の問題として生じていました。
共有者の一人は建物内に居住しており、不動産の今後の方針について意見が分かれました。
2 共有の構造的問題
共有不動産では、
- 収益は持分割合で分配
- 修繕費も持分割合で負担
- 処分には全員の合意が必要
という構造があります。
現時点で収益があっても、
- 将来の修繕費負担
- 建替えの判断
- 居住者の処遇
といった問題が重なると、意思決定は容易ではありません。
本件でも、維持継続を希望する立場と、将来的な負担を懸念する立場との間で協議がまとまりませんでした。
3 訴訟提起の意味
協議が進展しないため、共有物分割訴訟を提起しました。
共有物分割では、換価分割(競売)が原則的な方法となります。
しかし、競売は市場価格を下回る可能性があり、共有者全員にとって必ずしも望ましい結果になるとは限りません。
訴訟は対立を深めるためではなく、出口を具体化するための手段として選択しました。
4 解決
訴訟進行中に、市場価格の査定や将来負担の試算を整理し、協議を重ねた結果、第三者への任意売却による解決で合意しました。
売却価格は高額帯に達し、持分割合に応じて分配されました。
また、建物内に居住していた共有者については、一定期間の明渡猶予および解決金の支払を含む条件で調整がなされました。
5 この事案から言えること
共有不動産は、当面の収益が安定していても、将来的な負担や意思決定の問題を抱えています。
共有物分割訴訟は「争う制度」ではなく、膠着状態を整理する制度でもあります。
競売以外の解決方法を模索することも、実務上は重要です。